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2018-12-19

7周年から8年目へ


今日も・・・ありがとうございました!
営業後にカウンターで書き始めています。

2011年12月19日にスコッツマンを開店し

2018年12月19日でスコッツマンは7周年目を迎えました。

2018年12月20日からスコッツマンは8年目を歩みだします。

 

早いですね。

そして、話はいきなり変わります。

帝国データバンクの調査では2017年に倒産した飲食店の数は766件。
前年よりも2割も増加した数字だそうです。
2015年のデータでは、すべての業種における開業率は5.2%なのに対し、
廃業率は3.8%だそうです。

廃業率の方が少ない。

でも、2015年の業種別の推移データをみてみると、
他業種と比較し、「宿泊業・飲食サービス業」の廃業率は6.4%
ずば抜けて高い数字をはじき出しているそうです。

数字だけ見れば「宿泊業・飲食サービス業」の廃業率自体が、
全体の廃業率を大きく押し上げていると考えられます。

 

飲食業は参入が簡単な業種
だが続けていくのは難しい業種なんだなと思います。

 

 

僕が憧れ飲食の道に入った『オテル・ドゥ・ミクニ』の三國シェフ
シェフの一つの節目が今年でした。
それは33年目です!
『三國 清三』で33年なんです。

凄いとしか思えません。
やはり三國シェフだなと感じます。

 

毎年、この周年の時期になると色々と考えます。

 

僕の好きな『パブ』
英国での生活の中にある文化なんです。

僕は形以上に文化とかアイデンティティーとかいうのが
非常に大切だなと思っている人間です。

 

 

ミクニで仕事をしていた時に『エスプリ』という言葉を
三國シェフが良く発していたことを覚えています。

エスプリって何だろうな?って日本の厨房にいて考えていました。
その後、フランスへ行きフランス人の中で厨房で仕事をして
買い物をして、カフェへ行き、バーで飲んで・・・
当たり前の生活をしていた時に『エスプリ』というものが
垣間見えてきました。

 

『エスプリ=精神、考え方』

 

みたいなものだと僕は思っていました。
意味的にはそうなのかもしれません。

でも、実際に生活をしてみて
フランス料理をしながらフランスで生活をしてみると、そこには

 

『文化』

 

が非常に奥深く張り巡らされていました。

 

その文化を感じた時に、僕はフランス料理が今まで以上に楽しくなりました。
何も肩ひじ張ってやるものではなく生活に密着した料理を作る
そんな風に思えてきたから不思議です。

 

 

そして今、このパブという文化を僕は好きでいます。

日本にもたくさんのパブがあります。
例えていうなら今の流行はビアパブですね。

このスコッツマンもそう思われているお店かもしれませんが
全くコンセプトも形も違います。

日本のビアパブはアメリカのビアパブの
店舗という形のみのコピペ(コピー&ペースト)です。
ビールを専門的に提供するお店というだけで
その店舗自体に地域的なものはありません。
文化を感じることも出来ません。

アメリカやヨーロッパのビールというハード面のコピーはできますが
ソフト面という意味で『文化』のコピーは出来ていません。

 

 

僕もスコッツマンを始めた時にはゲストビールやら常に探しました。
でも今は全くと言っていいほど気にしません。

スコッツマンという『場』にビールやウイスキーがあるだけです。
その『空気感』を伝えるのが僕の仕事だからです。
パブの一番の価値観はそういうもので、
それが『繋がり』『共有』なんて呼ばれ

それが人間にとっても一番の嬉しさなんじゃないかと思います。
それを提供するのがパブという飲食店の一つのスタイルであり
パブだからしやすいというものなのだと思います。

 

 

僕たちのいる日本にはもともと、「絆」やら「コミュニティ」と
改めて言わなくても、お爺ちゃんやお婆ちゃん、ご先祖様は
自分たちの地域をはじめ各世代が一緒の共同体の役割を持ち
普通に生活の中でしてきていました。

だからみんなで昔みたいに戻ろうよ!とは思いません。

僕たちの住んでいる日本という国は
飲食店、雑貨、様々な物理的なハード部分は世界トップクラスです。
日本人らしさが出る気配りであったり
職人の技術の高さが世界的に認められています。

ハード面は磨きをかけて世界に上り詰めてきましたが
日本という民族がもともと持っていた「絆」や「コミュニティ」という
ソフト面を蚊帳の外に置いてしまい、取り込むのを忘れ
西洋文化が最新でカッコいい!という感情があふれ
『ゆとり』という錯覚で間違った『個』を主張をはじめてしまった。

西洋人が個人主義で、日本人が集団主義というのとは違います。

 

 

倉庫やシャッター街をリノベーション、再生するという事が
クラウドファンディングや自治体で取りあげられる現代は
再際された『新しい』ではなく『懐かしさ』を感じることができるから
共感されているんじゃないかとも思います。

日本独自の文化を懐かし始めたんじゃないのかな?
それを共有したいんじゃないのかな?

と思う事もあります。
そろそろ『ばらばらの個』から『集団』にと言うか・・・
『共有共存する個の集団』と言うのか・・・

 

そういう意味でも『パブ』という空間を僕は大切にしたいです。
そこは人と人が出会って何かが生まれる場所だからです。
それは安心感かもしれないし
はたまた懐かしさかもしれません。
ただ、スコッツマンのいる時間を普通に過ごしてもらって
日常の中に当たり前にある空間を僕は大切にしたいです。
それがパブだったりフランスのカフェ文化。

 

 

そういう意味でも『文化』としてのパブの認知を広げるというと
ちょっと大げさかもしれないんですけど
発信をしたり知ってもらうという行動は必要だと考えています。

西洋文化を日本人という僕のフィルターを通してアップデートし
それが、この神楽坂という町の文化に溶け込んで存在する。

そんな形が良いし、それがパブなんじゃないかなと
そうすれば文化になるかなと。

『勝ち(かち)』じゃなくて『価値(かち)』

そして

『競争(きょうそう)』じゃなくて『共創(きょうそう)』

こういうマインドをシェアをしていける店舗&会社にしたい。

7年前を思い、今日を振り返りながら書いています。

 

 


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